ABOUT

1.Chanoyu 茶の湯

1934年。当時、京都でも有数の賑わいを誇る商店街であった新大宮通。その一画に、茶道と華道の教授夫婦が住まう教室兼自宅として、腕利きの宮大工が一軒の京町家を建築しました。

夫婦がそこで数十年の長きにわたって過ごしたのち、町家は一度、空き家となりました。しばらくして、カフェが数年間その町家で営業していたのですが、閉店。「長らくのご愛顧ありがとうございました。」とのカフェ店主の張り紙を見つけたのが、世界一周の旅から帰ったばかりの下岡広志郎と莉香でした。

世界一周の旅で、伝統的な建築に宿泊する感動を日本でも発信したいと願っていた広志郎と莉香は、この町家に一目ぼれ。二人は大工さんと左官さんを招いて、茶道教室だった頃の面影を大切に、天然素材と伝統工法にこだわって、自ら町家を改装。町家は2017年5月「京町家コテージkarigane」として生まれ変わりました。到着のお客様には、略盆点前でおもてなし。季節の和菓子と共にお抹茶を一服どうぞ。

2.Handmade 手作り

旅館、ホテル、ゲストハウスと言った宿泊所の建築や改装は、多くの場合が工務店によって行われます。私たちのように、オーナー自らが、大工さん左官さんを招いて、改装に携わることなど極めて少ないのではないでしょうか。

Kariganeの改装は、まるでジャズのセッションのように進みました。私たちだけでなく、大工さんや左官さんからも、町家をよりよくするアイデアが提供され、当初の予定通り進むことはほとんどありませんでした。例えばお風呂の、京都の風景を描いたタイル画も、始まりは大工さんのジョークでしたが、「面白そう」という理由でやってみることになりました(これだけの時間と労力を要するとは思ってもみませんでしたが)。2階にある秘密のドアや、階段にある土壁パレットは大工さんと左官さんからのアイデアです。kariganeに宿泊されるゲストの多くが、町家の手作り感を喜ばれ、町家に注がれた愛情を感じてくださいます。それは、職人さんたち、そして私たちが、自由に創作を楽しんだ賜物なのではないかとおもいま す。

3.Earth wall 土壁

京都盆地は彩り鮮やかな左官材となる土に恵まれていたため、左官に関する技術も発達しました。

土壁は、呼吸します。蒸し暑い夏は湿気を吸収し、乾燥した寒い冬は湿気を放出して、人が過ごすのにちょうどよい湿度を保ってくれます。また、天然素材を用いて、人の手によって造られたからこその非常にわずかな凹凸が、絶妙な光の乱反射を生み、まるで自然の中にいるような居心地の良さを演出します。

日本の伝統建築について、土壁の話を抜きに語ることは出来ません。しかし近年、費用面やメンテナンスのしやすさから、天然素材の土壁ではなく化学工業製品の壁紙を使う人が増えているのは、非常に残念なことです。 一階には、京都伏見の浅葱土を使用。2階には侘び寂びの雰囲気を出すために、砂の分量を調整し、壁に無数の小さなひび割れを生み出す「小ひび仕上げ」も。ちょっとした材料の変化で壁の風合いを変える、様々な技があります。(写真)

4.Sustainability 持続可能な建築

Kariganeは、国内産や京都産の材料、またセカンドハンドの建具や木材や土を、出来る限り使用しています。そしてできる限り長く持つように作ることを心がけました。現代において持続可能性が高いことは、建築にとって大切なことだと考えます。

*K キッチン、トイレ、お風呂のドアは中古建具の井川建具店から探し出したもの。新品よりも材料の質が高く、技術も繊細で、 使い込まれて味わい深くなった建具を見つけられます。

土壁はリサイクルが可能です。2階の聚楽土は、もともとこの家の壁に塗り付けてあったものを、ヘラではがし、水でこねて、再び壁に塗りなおしたものです。 洗面台に使われているクスノキも、もともとは他の建築現場から出た残り物。木肌に小さな割れや欠けがあるために使われなかった部位ですが、私たちは「それこそ木の生きざま、個性」と感じています。

5. Natural Paintings 自然由来の塗料

Kariganeでは、天然由来の塗料を使っています。キッチン、洗面周りのフローリングは柿渋を塗って仕上げています。100%天然で、防水と白アリ忌避に効果があります。柱や壁には、柿渋、松煙、ベンガラ(酸化した鉄分を含む赤い鉱物)を混ぜ、塗料として使っています。

 

6. In praise of shadows 陰翳礼賛

現代的な建築は、なるべく明るく影を少なく造られることが多いのですが、日本の伝統建築は、影を多く直射日光が室内を照らしすぎないよう造られている、と感じます。

掛け軸、茶花、和菓子といった日本のアートは、陰翳のなかでより美しさを発します。格子や障子を経た太陽光が、繊細に室内を照らし、優しく、より味わい深い影の色を室内にもたらすからです。

kariganeご滞在中は、ぜひ一度、電気を消して、日本の美をご堪能ください。

 

7. Location 場所

京町家コテージkariganeは、紫野と呼ばれる地域にあります。

紫野とは、8世紀ごろに貴族の女性たちがこの地域で紫色の花を咲かせる薬草を摘んでいたため、このように呼ばれ始めたのだと言われています。源氏物語の作者である紫式部もこの辺りで生まれたそう。16世紀ごろになると、紫野の中心である大徳寺が、戦国武将たちの交流の場として、重要な地位を占めるようになります。特に、茶の湯や枯山水庭園といった文化とともに大徳寺は発展し、有名で上質な茶室や禅庭が今なお多く残っています。

現在、karigane周辺は個性的なビジネスオーナーたちが、切磋琢磨しつつ地域を盛り上げています。喫茶店はことさらに多く、1000年の歴史を持ち「あぶり餅」で有名な茶屋の一和、銭湯をリノベーションしたカフェのさらさ西陣、アンティーク雑貨も取り扱うカフェ“wife & husband”、世界中から人が集まるビーガンカフェの“stardust”。その他、 みたて (花屋)、陶々舎 (茶人のシェアハウス)、喫茶狐(カフェ)、歩粉(カフェ), LIFETIME(ガーデニング用品)、器館(陶芸ギャラリー)、鐘ヶ江(アートギャラリー)、平安堂(金継ぎ)、花谷中(生花)、かみ添 (唐紙職人)、うめぞの茶房(喫茶)、サーカスコーヒー(コーヒーロースター)など。皆様のお気に入りのお店を是非見つけてください。

8. The meaning of “karigane” kariganeとは

“karigane”には2つの意味があります。一つは「かりがね茶」、もう一つは「雁」です。

私たちは、この町家を改装して宿にするにあたり、かつて茶道教室であったという歴史を踏まえて、お茶にちなんだ名前を付けたいと思っていました。名前の由来となった「かりがね茶」は、玉露の茎を使ったお茶。玉露に負けない甘みと旨味を持ったお茶ながら手ごろな価格で、通好みのお茶です。

また「雁」は、9月ごろ日本に飛来する旅鳥。旅鳥のように世界各地から訪れる、旅人たちの憩いの場になりたいと思って、万葉集にも記載される「雁」の大和言葉から名前を選びました。

箔だけではない、個性を楽しむ旅人たちに愛される宿となりたいと願っております。

9. About us, Shimo & Rika 私たち夫婦のこと

私たち夫婦は、6~7年の間それぞれ奈良と大阪で働いたのち、世界一周の旅に出る決意をしました。旅では、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、中東、アジアと、大きなバックパックを担いで44か国を巡りました(その様子を、私たちのブログでご覧いただくことができます)。世界中で多くの宿に泊まる体験を通して、日本文化の中心である京都にて、伝統建築である町家を使った、自分たち自身の宿を始める決意にいたりました。

世界一周の旅で、私たちは多くの観光スポットに行きましたが、最も思い出深い経験になったのは、現地の人々と何気ない会話を交わしたり、サルサバーで踊りを教えてもらったり、個人経営の小さな料理屋さんに行ったり、山でハイカーに出会ったりといったことでした。人との出会いを通して、私たちの旅はとても特別で充実したものとなりました。日本を旅する人々にも、ガイドブックにも偶然の出会いを楽しんでほしい、自分だけの京都を見つけてほしいと願って、中心地よりも少し離れた場所を選びました。皆様に京都紫野にてお会いできることを楽しみにしています。

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